国・都道府県・市町村の事務

はじめに

今回は、国・都道府県・市町村の事務について確認していきます。

私がケアマネの勉強を始めて一番初めに心が折れそうになったのが、この分野です。

小難しい漢字がたくさん出てくるだけではなく、他の分野の知識も必要になるので大変な分野です。

なるべく要点を絞って、必要なところに焦点を当てて、確認していきたいと思います。

よろしくお願いします!!

国の主な事務

国の事務のうち、介護保険制度の運営に必要な基準等の設定等に関する事務は以下の通りです。

国の主な事務(基準の設定等)
  1. 要介護・要支援認定の基準

  2. 介護報酬の算定基準
  3. 区分支給限度基準額
  4. 都道府県や市町村がサービス提供事業者を指定するときの基準(人員・設備等)
  5. 第2号被保険者の負担率
  6. 「介護予防・日常生活支援総合事業の適切かつ有効な実施を図るための指針」の作成・公表

国の事務は、全国一律のサービスに関するルールの設定が主な内容ですね。

国および地方公共団体の責務

以下が、国および地方公共団体の責務です。
全てを覚えることができるわけないので、大事なところだけ黄色マーカーで強調しています。

キーワードは、

・要介護状態の予防

・障害者への施策との連携

・認知症への理解

です。最低でもこれだけは覚えておきましょう。

国及び地方公共団体の責務
介護に関連する施策の包括的な推進

国及び地方公共団体は、被保険者が、可能な限り、住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、保険給付に係る保健医療サービス及び福祉サービスに関する施策、要介護状態等となることの予防又は要介護状態等の軽減若しくは悪化の防止のための施策並びに地域における自立した日常生活の支援のための施策を、医療及び居住に関する施策との有機的な連携を図りつつ包括的に推進するよう努めなければならない。
(法第5条第3項)

(上記を推進する上で)障害に関する施策と連携する 国及び地方公共団体は、前項の規定により同項に掲げる施策を包括的に推進するに当たっては、障害者その他の者の福祉に関する施策との有機的な連携を図るよう努めるとともに、地域住民が相互に人格と個性を尊重し合いながら、参加し、共生する地域社会の実現に資するよう努めなければならない。
(法第5条第4項)
認知症に関する知識の普及及び啓発 国及び地方公共団体は、認知症(アルツハイマー病その他の神経変性疾患、脳血管疾患その他の疾患により日常生活に支障が生じる程度にまで認知機能が低下した状態として政令で定める状態をいう。以下同じ。)に対する国民の関心及び理解を深め、認知症である者への支援が適切に行われるよう、認知症に関する知識の普及及び啓発に努めなければならない。
(法第5条の2第1項)
認知症の研究推進 国及び地方公共団体は、被保険者に対して認知症に係る適切な保健医療サービス及び福祉サービスを提供するため、研究機関、医療機関、介護サービス事業者(第百十五条の三十二第一項に規定する介護サービス事業者をいう。)等と連携し、認知症の予防、診断及び治療並びに認知症である者の心身の特性に応じたリハビリテーション及び介護方法に関する調査研究の推進に努めるとともに、その成果を普及し、活用し、及び発展させるよう努めなければならない。
(法第5条の2第2項)

都道府県の事務

都道府県の主な事務
認定業務

・市町村が介護認定審査会共同設置する際のフォロー
・市町村から審査判定業務を受託した際の、都道府県介護認定審査会の設置
指定市町村事務受託法人の指定

財政支援 ・保険給付、地域支援事業に対する財政負担
財政安定化基金の設置・運営
サービス提供事業者 ・指定居宅サービス事業者、指定介護予防サービス事業者、介護保険施設等の
 基準の設置、指定、指定更新、指導監督
・市町村が行う地域密着型特定施設入居者生活介護の指定に関するフォロー
介護サービス情報
の公表
介護サービスの公表、調査、指導
ケアマネ ・ケアマネの試験、研修、登録、更新
介護サービス基盤
の整備
 略
その他 介護保険審査会の設置、運営
・市町村、医療保険者、社会保険診療報酬支払基金、国民健康保険団体連合会などが行う業務への指導等

市町村の事務

市町村の主な事務
 
被保険者の資格 資格の管理
・資格台帳の作成
・被保険者証の作成、更新
住所地特例の管理
認定業務 ・認定事務
介護認定審査会の設置、管理
保険給付 ・介護報酬の審査及び支払いと第三者行為求償事務
 (国民健康保険団体連合会に委託)
・償還払いの保険給付の支給
区分支給限度基準額の上乗せ、管理
種類支給限度基準額の設定
・市町村特別給付の支給
サービス提供事業者 ・以下に関する指定や指定更新、指定基準の設定等
 指定居宅介護支援事務所
 指定地域密着型サービス事業
 指定地域密着型介護予防サービス事業
 指定介護予防支援事業
・上記以外のサービス事業者への報告命令や立ち入り検査等
・都道府県が介護保険施設等の指定を行う際の意見提出
地域支援事業・保健福祉事業 ・地域支援事業の実施
地域包括支援センターの設置
・保健福祉事業の実施
市町村介護保険事業計画 ・市町村介護保険事業計画の策定、変更
保険料 第1号被保険者の保険料率の決定
・保険料の徴収について
介護保険の財政運営 特別会計の設置、管理
・公費負担の申請、収納
・介護給付費交付金、地域支援事業支援交付金の申請、収納
・財政安定化基金への拠出、交付・貸付申請、借入金の返済
市町村が条例で定める事項

・介護認定審査会の委員の定数
・以下の支給限度基準額への上乗せ
 区分支給限度基準額/福祉用具購入費支給限度基準額/住宅改修費支給限度基準額
・種類支給限度基準額の設定
・市町村特別給付
・指定地域密着型介護老人福祉施設の入所定員
・地域包括支援センターの基準

まぎらわしい語句の整理

これまで、国・都道府県・市町村の事務をみてきましたが、いくつか似ていたり紛らわしかったりする言葉があるので、まとめておきます。

被保険者の「負担率」と「保険料率」の違い

国の事務の中に「第2号被保険者負担率」というものがあります。
これは、介護給付における第2号被保険者の負担の割合のことです。

法定給付

<公費50%>

<保険料50%>

 

都道府県

市町村

1号

2号

施設等給付

20%

17.5%

12.5%

23%

27%

その他

25%

12.5%

12.5%

23%

27%

介護給付の中身を見ていると、その内訳は公費が50%、被保険者の保険料が50%と半分ずつになっています。

それぞれの内訳は上記の表のようになっており、第2号被保険者負担率は27%となっています。

これに対して「保険料率」とは、被保険者が支払う保険料を決めるための数値になります。

ざっくり説明すると、

( 第2号被保険者の給料 ) × ( 保険料率 ) = ( 第2号被保険者の保険料 )

という式で保険料が決定されます。

このような保険料率は、各医療保険者が設定できるようになっています。

保険料負担率とは、
  介護給付において被保険者が負担する割合
  第1号被保険者は23%、第2号被保険者は27%

保険料率とは、
  被保険者が支払う保険料を決めるための数値
  第1号被保険者の保険料率は市町村が決める
  第2号被保険者の保険料率は各医療保険者が決める

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