特定施設入所者生活介護を分かりやすく説明してみる

今回は特定施設入居者生活介護です。

数ある介護サービスの中でも、難しさNo1がコレだと思います。

特定施設ってなに?
施設なのに入居なの?入所じゃないの?
生活介護ってなに?訪問介護みたいな感じ?

などなど、たくさんの疑問があると思いますので一つ一つ確認していきましょう!

特定施設ってなに??

「特定施設入居者生活介護」の中身を確認する前に

そもそも特定施設って何やねん!

という疑問を解決しておきましょう。

特定施設とは、
①有料老人ホーム
②養護老人ホーム
③軽費老人ホーム
のことを指します。

医療関係者なら聞いたことがある名前の老人ホームがでてきましたね。以下ではそれぞれの老人ホームの特徴を確認しましょう。

①有料老人ホームとは?

有料老人ホームとは、
概ね60歳以上の方が入居して介護を受けられる施設
のことです

「介護保険施設」の設置主体は公的機関に限られているのに対して、有料老人ホームは民間企業が設置できます。そのため、入居費用等も自由に設定することができます

入居費用は高いものでは数百万~数千万円かかるようです・・・
TV番組で高級ホテルのような部屋や食事が出てくる老人ホームを観たことはありませんか?あれも有料老人ホームです。庶民には手が届きませんね

有料老人ホームはさらに以下の4つに分類することができます。

有料老人ホームの類型

1)介護付有料老人ホーム(一般型特定施設入居者生活介護)
2)介護付有料老人ホーム(外部サービス利用型特定施設入居者生活介護)
3)住宅型有料老人ホーム
4)健康型有料老人ホーム

先に4)健康型有料老人ホームを確認します。
これは、文字通りに健康な方が入居する老人ホームです。そのため、介護が必要になったら退去する必要があります。健康型は分かりやすいですね。
ややこしいのは1)~3)です。

1)と2)の介護付有料老人ホームとは、分かりやすく言えば、

「介護付」有料老人ホーム
「介護付」
有料老人ホーム

介護保険サービスですか?お任せ下さい!
うちは特定施設入居者生活介護の指定を受けてるから、
こちらで提供しますね!

という有料老人ホームです。
そして、この介護保険のサービスを
自事業者が提供するなら

⇨「一般型」特定施設入居者生活介護

契約している外部の事業者が提供するなら

⇨「外部サービス利用型」特定施設入居者生活介護


となります。

これに対して3)の「住宅型有料老人ホーム」とは、

「住宅型」有料老人ホーム
「住宅型」
有料老人ホーム

え?介護保険サービスを受けたいの?
まいったな~
うちは特定施設入居者生活介護の指定を受けていないんだよね~
悪いけど、自分でよそと契約してもらって良い?

という有料老人ホームです。
利用者は、基本的サービス(後述)は有料老人ホームから受け、希望した介護サービスは別で契約した事業者から受けることになります。

ここまで理解された方は、こんな疑問はありませんか?

あれ?

外部サービスを利用する【介護付有料老人ホーム】
と【住宅型有料老人ホーム】って、結局はじゃないの?



どちらも、住んでいる有料老人ホームではなく、外部の業者から介護サービスを受けるという点で共通してるので、同じじゃね?という疑問です。

もちろん違いはあります。何が異なるかと言うと、以下の点です。

〇利用者は誰と契約をするのか

 介護付有料老人ホーム
 …住んでいるホームのみ
 住宅型有料老人ホーム
 …ホームと外部事業者の両方 

〇利用者は誰に自己負担を支払うのか

 介護付有料老人ホーム
 …住んでいるホームへ支払う
 住宅型有料老人ホーム
 …外部の事業者へ支払う 

細かいところなので、ケアマネ試験には出ないと思われますが、疑問に思ったことは解決しないと気持ちが悪いのでまとめてみました。

長かったですが、以上が有料老人ホームの説明になります。
まとめると、
・特定施設の1つが有料老人ホーム
・有料老人ホームには4つの類型がある
・介護保険サービスを誰が提供するのか?がポイント
となります。

②養護老人ホームとは?

特定施設の2つ目である、養護老人ホームを確認します。

養護老人ホームとは、
社会的・経済的な理由で在宅生活できない高齢者を養護する施設
のことです。

養護老人ホームを理解するポイントは「社会的・経済的な理由で」という点です。そうです、身体的な理由ではないんですね。有料老人ホームでは、一般的な老人ホームのイメージ通りに

要介護者
高齢者

体も不自由になってきたし、

老人ホームに入ろうかしらね

という高齢者が入居します。しかし、養護老人ホームは違います。

”在宅生活できない高齢者を養護する施設”

なので、高齢者が希望して入れるところではありません。市町村が調査を行ない、必要となれば入ることができます。

養護老人ホームにも特定施設入居者生活介護は「一般型」と「外部サービス利用型」の2つがあります。

ケアマネ試験対策として、養護老人ホームについては以上で十分です。

③軽費老人ホームとは?

特定施設の3つ目となる軽費老人ホームです。

軽費老人ホームとは、
独立した生活が難しい高齢者が、無料または定額で入居して介護を受ける施設
のことです。

養護老人ホームと異なり、利用者が申し込んで入ることができます。様々なADLの方が入ることができ、それにより類型が違います。

軽費老人ホームの類型
1)A型
 低所得の高齢者向け
2)B型
 低所得で自炊ができない高齢者向け
3)介護対応型(ケアハウス)
 低所得で介護が必要な高齢者向け

このうち、特定施設入居者生活介護として指定されるのは主として3)ケアハウスになります。

ケアマネ試験対策としては、
・特定施設の一つに軽費老人ホームがある
・特定施設入居者生活介護として指定されるのは
 軽費老人ホームのなかでも主としてケアハウス
と覚えておけば十分です。

特定施設入居者生活介護ってなに??

前章では、特定施設入居者生活介護を理解するために、まずは特定施設とは何か?について確認してきました。以下では、いよいよ特定施設入居者生活介護について確認していきます。

まずはいつものように、介護保険法における定義から確認です。

定義

「特定施設入居者生活介護」とは、
特定施設に入居している要介護者について、当該特定施設が提供するサービスの内容、
これを担当する者その他厚生労働省令で定める事項を定めた計画に基づき行われる入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話であって厚生労働省令で定めるもの、機能訓練及び療養上の世話をいう。

介護保険法第8条11より抜粋

このように、特定施設に入居している方に対して行われる介護サービスのことです。特定施設が提供する介護サービスは大きく2つに分けられます。

<基本的なサービス>
・生活相談
・安否の確認
・特定施設サービス計画の作成

<外部委託可能なサービス>
①訪問介護 ②訪問入浴
③訪問看護 ④訪問リハ
⑤通所介護 ⑥通所リハ
⑦福祉用具貸与
⑧地域密着型通所介護
⑨認知症対応型通所介護

特定施設が、両方のサービスを行なう場合は「一般型」、基本的なサービスのみを行なう場合は「外部サービス利用型」と分類することができます。

特定「施設」なのに入所じゃなくて「入居」?

勘違いしやすいですが、特定施設入居者生活介護です。入所者ではありません。

でも、これっておかしいですよね?「入居」は自宅に使われる言葉であって、施設には「入所」を使いますよね。これには理由があり、介護保険制度では、特定施設を「居宅」として扱っているからです。

なぜそんなことになっているのか不明ですが、これにより特定施設入居者生活介護も施設サービスではなく、居宅サービスとして位置づけられています。施設に入っているつもりでも、居宅サービスを受けられるのはラッキーですよね

しかし、問題もあります。特定施設入居者生活介護は居宅サービスとなるので、他の居宅サービス(訪問介護や訪問看護)と併用することはできません。もし併用するときには、他サービスは特定施設の費用負担により利用することになります。

人員基準

以下が、特定施設入居者生活介護の人員基準になります。

管理者常勤、兼務可能
生活相談員100対1
1人以上は常勤
計画作成責任者100対1
介護支援専門員、兼務可能
介護職員
看護職員
要支援 10対1
要介護  3対1
機能訓練指導員1人以上

特定施設入居者生活介護では、特定施設サービス計画をケアマネが作成します。また、計画書は利用者に同意を得る必要があり、また利用者へ交付されなければなりません。

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