被保険者資格の取得と喪失

はじめに

今回は、「被保険者資格の取得と喪失」について確認していきます。
介護保険の被保険者となる資格を取得できるのはどんなときか?
逆に、どんなときに被保険者の資格を喪失するのか?
このあたりをしっかりと確認していきましょう。

今回の内容は、「介護保険の保険者と被保険者」を学んでおくと更に分かりやすくなりますので、まだご覧になっていない方はぜにこちらもご覧下さい。

資格取得の時期

介護保険の資格を取得するのは、以下のことが起きた日です。

<年齢について>
市町村に住所があり、医療保険に加入しているものが、40歳に達したとき
市町村に住所があり、医療保険に加入していないものが、65歳に達したとき 

<住所について>
40歳以上60歳未満の医療保険加入者が、市町村内に住所を有したとき
65歳以上の者が、市町村内に住所を有したとき

<医療保険について>
市町村に住所があり40歳以上65歳未満の者が、医療保険加入者となったとき
(例:生活保護が停止となり、国民健康保険の適応となったとき)

考え方として、
第1号被保険者に必要な条件は、住所年齢
第2号被保険者に必要な条件は、住所年齢医療保険加入
なので、
それらの条件が満たされたときが、介護保険の被保険者資格を取得したときになる。
*例外は「適用除外施設」

年齢について、40歳の誕生日の前日が年齢到達の日となる

資格喪失の時期

介護保険の資格を喪失するのは以下のときです。

① 市町村に住所を有しなくなった日の翌日
  *ただし、住所を有しなくなった日と同日に他の市町村の住所を有した場合には、当日から喪失
② 適用除外施設に入所した日の翌日
③ 死亡した日の翌日
④ 第2号被保険者が、医療保険の加入者では無くなった日の当日

①~③がなぜ「翌日」なのかというと、引っ越しや死亡の当日まで介護サービスを利用する人が困らないようするためです。
死亡日に利用した訪問介護や訪問看護は全額自腹で払ってね、ということになってしまうので、翌日になると考えましょう。

届出義務

第1号被保険者の場合

第1号被保険者 は 被保険者資格を取得した場合、

保険給付を受けられる権利と、保険料負担の義務(メインはこっちでしょ?笑)

が発生するので、原則として14日以内市町村に届出る義務があります。

介護保険法 第12条第1項(届出等)

第一号被保険者は、厚生労働省令で定めるところにより、被保険者の資格の取得及び喪失に関する事項その他必要な事項を市町村に届け出なければならない。ただし、第十条第四号に該当するに至ったことにより被保険者の資格を取得した場合(厚生労働省令で定める場合を除く。)については、この限りでない。

届出が必要なのは、以下の場合です。

  1. 転入による、被保険者資格の取得(以下、資格取得)
  2. 適用除外施設を退所したことによる資格取得
  3. 外国人が65歳に達したことによる資格取得
  4. 住所地特例を適用されたとき、もしくは適用されなくなったとき
  5. 氏名の変更
  6. 同一市町村内での住所変更
  7. 所属世帯または世帯主の変更
  8. 転出・死亡による資格の喪失

ただし、例外があります。

市町村に住所を有しているが医療保険未加入の者(生活保護等)が65歳に達した場合には、役所側で把握可能なので届出の必要はありません。
また転入・転出届があった場合にも、第一号被保険者の届出は不要となります。

第2号被保険者の場合

第2号被保険者の資格取得した場合にも届出義務があるのかというと、

実は、届出義務はありません

第2号被保険者の保険料は医療保険から引かれており、貰い損ねることがないから、といった理由でしょうか。
*個人の感想です

住所地特例とは?

住所地特例について説明します。

例えば、あなたが山奥のA村に住んでいたとします。あなたは加齢により山奥での生活が辛くなってきたことから、都心であるB市の介護施設に入所したとしました。入所したので、住所もA村からB市へ移ることになります。
このとき、介護施設でのサービス費はB市が介護給付として払うのが基本です。

しかし、あなたのような考えで、周辺の市町村から高齢者がB市にどんどんと集まってくるとどうなるでしょうか?
B市の保険給付はどんどん増え、それに伴いB市の保険料も増えていくでしょう。
これでは、B市があまりにもかわいそうです。

このような不公平感を解消するために考えられたのが、「住所地特例」です。
住所地特例では、被保険者が住所地特例の対象施設に入所・入居するために住所変更したことが明らかな場合は、住所変更前の市町村を保険者とすることとしています。

今回の例で言えば、あなたは明らかに入所目的に引っ越ししていますから、B市の施設に入所したとしても、そこでの介護給付費を負担するのはA村ということになります。

対象となる施設は以下です。

住所地特例の対象施設

1:介護保険施設
  介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、介護老人保健施設、介護医療院

2:特定施設
  有料老人ホーム、軽費老人ホーム、養護老人ホーム

3:サービス付き高齢者向け住宅

まとめ

今回は、「被保険者資格の取得と喪失」について学びました。

以前の投稿にあった「介護保険の保険者と被保険者」と合わせて学ぶと、より理解が深まると思います。

今回も最後までご覧いただきありがとうございました。

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